データを見やすく可視化する①

近年、BIツールなどデータを簡単に可視化できるツールは多くなりましたが、「ツールを使ってとりあえず可視化」するだけでは効果が薄くなってしまうことがあります。
例えば下記のような円グラフ。

大阪の数字が大きいな…とか、大阪>東京>愛知がTOP3なんだな…くらいのことはわかりますが、いまいち何が言いたいのかわかりません。
そこで今回は、データ可視化の中でも特に重要な「見やすい可視化」に焦点を当て、チャートの種類の選択方法や見やすい可視化を作成するための方法について解説します。
「見やすい可視化」の重要性
データを可視化するときには”見やすいもの”にすることが重要と言われています。
可視化する(チャートや図表を作る)目的はあくまで「理解すること」であり、可視化した結果「何が言いたいのかわからない…」となっては意味がありません。
見やすい可視化にあたって意識すべきことは色々ありますが、今回は
- 適切なチャートの選択
- 理解しやすくするための意識
これら2点についてまとめます。
適切なチャートの選択
データ可視化を行う際には、目的に合ったチャートの種類を選択することが重要です。
適切なグラフを選択することで、データの持つ意味をより明確に、そして効果的に伝えることができます。
例えば、「都道府県別売上」の比較で例示してみます。
- 棒グラフ

- 折れ線グラフ

この例だと、どちらも各地域の売上比較はできますが、折れ線グラフに違和感があると思います。
折れ線グラフは一般的に「データの推移や傾向を把握する」ために使われるため、「年月」などの時系列で見る場合はよいのですが、今回のような「地域」という項目では各地域に時系列があるように見えてしまいます。
このような違和感を避けるために、適切なグラフを選択する必要があります。
主なグラフの種類と用途は以下の通りです。
グラフの種類 | 用途 |
---|---|
棒グラフ | 複数の項目の値を比較・ランク付けする |
折れ線グラフ | 時系列でのデータの推移や傾向を把握する |
円グラフ | 2,3個程度の項目の割合を比較する |
散布図 | 2つの変数の関係性を把握する |
箱ひげ図 | データの分布を見る |
例えば、各製品の売上を比較したい場合は棒グラフ、ある期間の売上推移を把握したい場合は折れ線グラフ、地域別の売上と利益の関係性を把握したい場合は散布図が適しています。
円グラフを使う上での注意点
円グラフは全体に対する割合を示すのに便利ですが、注意点があります。
- 隣り合っているものしか比較できず、得られる情報が少ない
- 色がないと比較できず、伝えるべき箇所に絞って強調することが難しい
- 数が多くなると割合が小さいものの面積が小さくなり、比較が難しい
実務では見かける頻度の高い円グラフですが、上記の観点から避けるべきシーンを見極めて使う必要があります。
見やすくするための意識
見やすいチャートを作成するためのポイントをいくつか紹介します。
- 情報量を絞る: 必要な情報のみ盛り込み、過剰な情報は排除する。 例えば、1画面には3~4個程度のチャートがよい。
- 色を多用しない: 色を使いすぎると、グラフが見づらくなる。7色までに絞るのがベスト。また、シートの背景色は白にしておくのがよい。
- 伝えたいことを明確にする: 伝えたいことを明確にして、その箇所を強調する。
- 線を減らす: 過剰な装飾は避ける。 例えば、チャートのグリッド線を減らすことで、データの視認性を向上させることができる。
- 視線移動を意識する: 視線があちこちに移動する必要があるグラフは避け、視線の流れを意識してグラフを作成する。人の視線は左上→右上→左下→右下の「Z字」の順に移るため、伝えたい順番とリンクしているとよい。
まとめ
見やすい可視化を作成するためには、チャートの種類の選択、色の使い方、情報量など、様々な点に注意する必要があります。
本記事では、見やすい可視化を作成するためのテクニックとして、グラフの種類の選択方法、見やすいチャートを作成するための意識について解説しました。